リバースモーゲージ制度とは?
50代からの生き方を考える場合、老後の生活費を確保できるかどうかは切実な問題です。
一つの案として、自宅を担保に生活費の借り入れができる「リバースモーゲージ制度」というものがあります。
しかし、この制度が豊かなセカンドライフにとって本当に有益な制度なのかどうかは、じっくりと検討する必要があります。
リバースモーゲージ制度のメリットと問題点について把握しておきましょう。
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リバースモーゲージ制度とは?
豊かなセカンドライフをおくるためには、経済的な安定が欠かせません。
しかし、年金や貯蓄だけでは不安があるという場合、将来の選択肢のひとつにリバースモーゲージ制度というものがあります。
このリバース・モーゲージ(reverse mortgage)という言葉の「リバース」とは、「反対の」とか、「逆の」という意味であり、また「モーゲージ」とは「担保」とか、「抵当」という意味があります。日本語では「逆住宅ローン」または「住宅担保年金」などと訳されています。
リバースモーゲージ制度のしくみは、高齢者が自分の家に住みながら、住宅や土地などの不動産を担保として、老後の生活に必要なお金を一括または年金の形で借りられるというものです。
契約期間中は、借りたお金を返済する義務はなく、契約者が亡くなった時に、その自宅や土地を売却して借り入れ金と利息を清算するというしくみになっています。融資を受けながら、最後に抵当物件を手放すという意味で「リバース」という言葉が使われています。
リバースモーゲージ制度のメリット
リバースモーゲージ制度のメリットとして、次のようなことがあげられます。
●自宅や土地などの不動産を所有していても現金収入が少ない高齢者にとっては、年金のような形で毎月生活資金を受けられるので余裕のあるセカンドライフをおくることができる。
●受けた融資は、生活資金のほか、住宅のリフォーム資金、入院した場合の医療費、老人ホームへの入居資金など、さまざまな使い方ができる。
●住み慣れた家を手放す事なく融資が受けられ、本人が死亡した時点で自宅が売却されるので、相続者がいない場合などはメリットが大きいと言える。
●少子高齢化社会における公的年金制度への依存度を減少し、シニア世代の消費活性化、不動産の流動化による経済効果などが期待される。
リバースモーゲージ制度の問題点
リバースモーゲージ制度は上記のようなメリットがあるものの、日本ではあまり普及していません。それには、次のような問題点があるからです。
●日本はもともと子供が親の面倒を見るのが当然であり、「親の家の後を継ぐ」という考え方が根底にあるため、自宅を担保に生活資金を借りるという考え方ができないという国民性がある。
●金融機関により複数の契約条件があり、その条件を満たした上で審査をクリアしないと融資を受けることができない。
●リバースモーゲージ制度を利用できるのは、65歳以上となっており、終身定額の給付を受けられますが、長生きした場合には債務超過に陥り、給付打ち切りや住居を失ってしまうおそれがある。
●契約後に金利が上昇した場合、担保割れになり、毎月の支払額(金利返済分)が上がったり、借入残高が増えてしまうことがある。
●不動産価格が予想以上に下落した場合、融資限度額が下がったり、毎月の融資金額が下がることがある。
●契約終了時に担保物件の売却価値が借入残高を下回った場合、住居を失った上に借金が残ってしまうことがある。
●契約後、病気や事故などで亡くなった場合、相続の問題が発生する。
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長期生活支援資金貸付制度について
長期生活支援資金貸付制度とは、平成14年12月に厚生労働省が導入したもので、仕組みは自治体主導のリバースモーゲージ制度と同じです。
実施主体は、都道府県社会福祉協議会であり、申込み先は市町村の社会福祉協議会となっています。
この長期生活支援資金貸付制度とは、現在所有し居住している自宅に今後もずっと住み続けたいと考えている低所得層の高齢者に対して、その不動産を担保に生活資金を貸付ける制度です。毎月一定額を受け取り、最後に不動産を処分して貸付金を清算する仕組みになっています。
この制度で融資を受けるための条件は、次のようになっています。
・世帯の構成員が原則65歳以上である
・借入申込者が単独で所有(配偶者との共有を含む)する不動産に居住している
・配偶者または親以外の同居人がいない
・不動産に抵当権や賃借権などが設定されていない
・世帯収入が市町村民税非課税程度である
※長期生活支援資金貸付制度の詳細は、厚生労働省のホームページに公開されています。
⇒ 生活福祉資金(長期生活支援資金)の概要について 厚生労働省
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